椿の話
椿の自生している雑木林は昼間でもうす暗い
樹木が上のほうで茂り光を遮っている
そのため細い径は何時でもじめじめしている
そこに赤いやぶ椿の花が落ちて真っ赤な広がりをみせたり
時にはぽつりぽつりとこぼれている
これは落花の少ないとき私が集めて置いたもの 落ちて間もない花
既に腐れて変色しているもの開花の季節の移り行きです
自然交配の雑種だから隣同士の花でも同じものは少ない
花を手のひらでじっと眺めると重さもあり大した造形物だと感心する
精巧な作りこみは一体誰の作品だろうと思いいつまで眺めていても楽しい
我が家の椿群の椿の樹木に異常なものがある
枝がもう一つ枝分かれした枝に屈いている
そのことを知ったのは30年前のこと
こんな自然現象があるものだと驚いた
今はでは大きな木になり上の枝がしたの枝につながったのかの判別はつかない
ある人にその状態をみせたら首を傾けたまま考えやがて妙なことを言い出した
「椿はね、他の雑木とは違って神木という説があるとか
この木は大切にした方がいいよ、、、」彼は言葉をとめて暫く思いにふけっていた
椿には不吉な印象が付きまとう
この里には椿の群れがほうぼうに点在していて
又そこそこに逸話もある
昔 椿の林に一人で入り込んだ童女が
胸いっぱいに椿の花を抱え込んだままその場で眠り込んでいた
大勢で捜索して発見したのだという
その童女 そのご椿の花の咲くころには決まって雑木林に忍び込むそうだ
椿の魔性がなす業だと聞いた
椿は魔物か神木かロ-カル説は人それぞれです