朝から雨が降った
久しいぶりの雨は人の心にも
しっとり和みを与えてくれる
午前11時2分 爆弾投下
静かに手をあわせた
「原爆に頼らない平和を」更に「日本は原爆禁止条例に
早く署名するように」と田上市長の切実な訴え
20年も前にKさんの原爆体験を聞いた
その日長崎の町は地獄だった 父がいない
家は全壊していた
必死で父を探したが 既に遺体
町中何処からも煙が上がっていた
弔いの煙 Kさんは中学1年生
壊れた家の廃材を集めて父の遺体を
その上に引きずり上げた
「火をつけるからね」父の遺体に
言うのは極自然に口をついた
廃材は良く燃えた 遺体がじりじりと音を立てて
燃えた
Kさんは夢中で手をあわせて「父さん 父さん」と
叫びながら声を出して泣いた
世界がどうなったのかも検討が付かない
火が消えてから骨を集めて
抱いたまま眠ってしまった
まだ暗い朝方目を覚ました
何もかもが一変していて まだまだ
弔いの火が立ち上っていた
辺りが暗いのでその火だけが町中いたるところに見えた
自分の思考が停止して感情さえ分からない
哀しくもない空腹感もない
誰かが来てくれるのか
仕方ないから何かが起こるのを待つしかない
次の日に家族が一人帰って来た
シャツが焦げて布が下がっている
泣いているのだが涙が出てない
以上
「戦争はやめよう、、、」
ほんとに してはダメです
とKさん