正月3日市では成人式が執り行われた
素晴らしい 又晴れやかな天気に恵まれ一番孫は緊張しながらも
笑ってみせた 真新しいス-ツ姿の新成人、、、ここで生まれ育った彼 じじの膝に乗って暮らした日々が懐かしい
庭には温かい日差しを浴びて心地よさそうに数輪のバラが咲 白い椿が咲いている
紺のス-ツに花達がエ-ルを贈ってくれているようだ
この子が誕生する以前から毎年桜を植え付けて
小学校に上がる日に桜の園から登校させたいと願った
桜は既に満開になってくれた 勿論新調した服に身を包まれた
彼はじじが抱き上げても弾まない 想いいっぱいではにかんでいるのだと思った
庭には50本の桜が咲き ホントに桜の園になっていた
私の願いは叶えられていた
私は上を仰いで天と桜の空に「ありがとう」を何度も呟いた
母親の車に乗って動き出したときにやっと彼はこちらを
振り向きガラスの向こうで手を振って微かにほほ笑んだ
この孫の人生の最初の門出を飾ってやれたことは私の大きな
喜びであった 車を見送った私は再度天を仰いだ
「神様 そして母さま あの子は入学式に立ちました
あの子は幸せです ありがとうございます」
私は長い時間天を仰いだ 私の胸は高鳴りどっとこみあげた
私の周囲には常に花があり 庭には四季折々の花が咲いてくれた
私は花を食べ そして花に取り囲まれて暮らした
ですから一つ一つの花に記憶が宿り花から連想が走り出す
手元の4人の孫達も皆この桜の園から小、中、高、そして大と
巣立ちしていった なんと嬉しいことだろう
新成人にはバラも椿も似合うが それでもこの子にはやはり
桜だ 一番孫の花は桜だ 桜の子と言ってもおかしくない
桜の花の下を手を引いて歩いた頃のかん高い声は
今でもこの庭の森の樹間に響きそうだ
青年の彼を この庭でじじとばばで手を取り合って
花達にささやいて祈って居よう