昨夕 突然Vさんが訪ねてきた

古いお付き合いだ 何もないがと食事を促すと

実に気軽に共に楽しい食事会になった

残念なのは酒を飲めないことだった

誰から聞いたのか私が生け花をやめるときいたので

それを心配してきてくれたのだ

彼は生け花はしなかったが私が生け花で動くとき

何時も傍にいてくれて程よいアドバイスをしてくれたり

場合によっては手伝いさえしてくれた

長い時間の末Vさんが腰を上げる時

私も一緒に庭に降りて彼をおくった

「生け花はね 歳をとったからこそ続けるからね」

私はかれの顔をしっかりのぞき込んで

そういうと「よかった 安心して帰るからね」

彼の車のテ-ルライトが消えるまで

バ-と二人で見送った

この数日の夕焼けは美しい

夕焼けが美しい程 気温は低くなる

そして次の日は晴天になる

実際今朝は春のあさかと思うほど

明るい日差しに恵まれた

八つ手を主体にこずえ 枯れ向日葵ハランですが

最初思ったものと結果は違った

生けながら自分のイメ-ジとはちがったなぁと

感じたものの 脳裏には昨夜のVさんのことが

あってこのままでいいやとなった

生け花は何時でも自分のイメ-ジの通りには

行かない イメ-ジを表すのが技だ

だが技が先行したのではいい華にはならない

凄く技がうまい人がいた

其の人が生けたらいつも周囲の人から

拍手喝采が起こる

彼女にみんなが一目置いていた

何時も褒められちやほやされるうちに

彼女は周囲の人の作品をまともに見なくなっていった

「生け花はこんなにして生けたらいいのよ」

ポツンとそれだけいってそっぽ向いた

次第に拍手が起こらなくなりだした頃

彼女の姿は生け花教室から遠のきつつあった

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